氷魂! 昌磨、超えてゆけ!

 2018-19 シーズン、羽生結弦が怪我で休場していた4カ月間、日本のフィギュアファンの注目は宇野昌磨に集まり、不調を抱えながらも順位的には好成績を収め、期待に応えてきた。SP「天国への階段」、FS「月光」ともに、表現力を生かし深めていけるプログラム構成になっており、トレードマークのクリムキンイーグルがなくてもファンを十分に楽しませてくれた。反面、なかなかノーミスの演技が見られず、得意のはずの4Fでもミスが目立ち、スランプと言うほどでもないが、焦燥が感じられたシーズンでもあった。

 今シーズンの宇野昌磨のピークは、四大陸選手権のFS「月光」で輝いた瞬間だった。後半のスリージャンプのステップアウトを除き、ノーミス、全エレメントがレベル4、加点付きの名演技でFSの世界最高得点を更新し、悲願の金メダルを勝ち取った。実はSPの練習中に捻挫し最悪の状態にあり、棄権を勧められながらも闘い抜いて勝ち取った勝利であり、逆境に打ち克つ精神力の強さが感動を誘った。

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 四大陸選手権の勢いに乗っていければ、宇野昌磨が世界選手権で金メダルを狙うことも不可能ではなかった。4Fを擁する宇野昌磨は強力なメダル候補として注目された。しかし、四大陸選手権に不出場だった羽生結弦とネイサン・チェン、そしてヨーロッパ選手権のメダ。リスト達も出揃う世界選手権で苦戦が強いられることは本人も予測できただろう。結果は4位と、惜しくもメダルを逃してしまった。銅メダルを獲得したのは、4Ltz+3Tを全て成功させたヴィンセント・ジョウだった。宇野は得点源の4Fを全て失敗してしまい、 怪我は治ったとのことだが、 調子を取り戻すにはもう少し時間が必要だったのかも知れない。

リスト達も出揃う世界選手権で苦戦が強いられることは本人も予測できただろう。結果は4位と、惜しくもメダルを逃してしまった。銅メダルを獲得したのは、4Ltz+3Tを全て成功させたヴィンセント・ジョウだったがて銅メダルを獲得し、4Fを全て失敗した宇野が4となったのは致し方ない。ユニバーシアードを欠場し、怪我は治ったとのことだが、調子を取り戻すまでには至ってなかったのかも知れない。

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 自国開催の世界選手権で残念な結果となってしまったが、宇野昌磨にはシーズン最後のお祭り、国別対抗戦というチャンスが残されていた。世界選手権で偉業を成し遂げたネイサン・チェンがもはや記録更新を狙わず、難易度を下げたプログラムに変更したのと対照的に、宇野は本気で挑み、一度も成功したことのない、4F+3T、そして前人未到の突飛とも思える3A+4Tという2つの コンビネーションジャンプを組み入れた構成で臨んだ。結果、4F+3Tを見事成功させ、3A+4Tは転倒したものの、回転は認定された。昌磨の挑戦する意思はシーズン最後の大会に華を添えてくれた。本人的には楽にした構成で楽勝してしまったネイサン・チェン、SP、FSともノーミスの演技に成功した2位に入ったヴィンセント・ジョウがクールな優等生のように見え、最後の最後に世界初の3A+4Tというユニークなコンビネーションジャンプに挑んだ昌磨の熱さがフィギュアファンを喜ばせた。

 天才肌で瞬く間にトップクラスに昇りつめ、オリンピック銀メダルまで手にした宇野昌磨だったが、今なお青い闘志に燃え、臆することなく挑む続ける。昌磨のような青臭さもある挑戦者の存在があってこそ、フィギュアスケートが面白くなっていく。昌磨の愛すべき青さはGala(エキシビション)でも際立ち、スマートに決めてシーズンを締めくくるより、3A+4Tにまたも挑戦し、またも転倒したが、来季へ繋がる情熱を示した。インタビューでは5回転ジャンプ挑戦についても暴露している。大人っぽい分別や洗練を身に着けていくのはもう少し後でいいから、そのピュアな挑戦者の魂のまま、自分の道を極めていってほしい。昌磨なら、3A+4Tは来季にきっと成功させるだろう。そして、5回転ジャンプも夢でなくなる日が来るかもしれない。氷魂!昌磨、超えてゆけ!

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