YCC ヨコハマ創造都市センターに出現した不思議な国「ネイバーズ・ランド」に訪れることもう4回目。りっぱなリピーターである。前のレビューであまり建築っぽくないと書いたが、それは勘違いだったと次第にわかってきた。 「ネイバーズ・ランド」の展示はシンプルかつシックで、横浜、馬車道のYCCを休日に訪れて観るのに相応しいアート作品である。色彩もフォルムも配置も都会的なセンスが溢れていて、YCCの美しい建築やインテリアとも連続性がある。実際にその国を訪れる際に目にすることになる混沌とした生活感はないが、全く違和感はない。アジア的な(と言っては失礼なほどの)カオスは既に自分自身が体現しているので。
この国のコンセプチュアルなアート空間は、非常に創造的でもある。横浜在住の外国人、ネイバーズとの出会いから生まれる体験はエキサイティングで 期待を裏切らない。そして、HAL(15)の事例の通り、それ以上のものが得られる。それはこのシンプルな空間の適度な余白でこそこそ生まれる奇跡なのかも知れない。そして予定した仕掛けや機能を超える体験を生み出す創造的な空間を生み出すことが建築の理想なのかも知れない。



YCC1階のカフェに隣接する展示スペースに北澤氏によるスケッチやパースが展示されており、描かれた線の一つひとつから彼のパッションが伝わってくるようだが、この線が生み出した期間限定の不思議な国の仮設ブースは実は理想の建築を体現しているともいえるだろう。
さて、HALのネイバーズ・ランド体験の続き。チェンディキアさんにまた会いたくてネイバーズ・ランドを再訪したいけど、父が出展した建築展は終わったのでついではないし、シャイなHALは一人で行くのはちょっと気後れ。また、中3のときのクラスメイトに会いたい気分だがそれさえ気後れ。その様子を見ていた母は、ネイバーズ・ランドでの体験は素晴らしいが、それも北澤氏の名前のついた作品の一部なのだろうか? という不要な疑問を抱いており、その流れで、この場を自ら仕掛ける体験の場に設定させていただくこととした。…と、いうことで、HALの中学時代のクラスメイト、聡明な美少年 Kくん &ママをお誘いしてネイバーズ・ランドへ。15歳にもなった男子と親子で出かける場を設定するのは難しいものだが、教育的要素があれば誘いやすく、英語が得意なKくんのスピーキング体験の場としても最適なので、自信をもってネイバーズ・ランドへお誘いした。
HALとKくんは、一緒にフィリピンのデザート HaloHaloや、インドカレーのお料理ワークショップを体験。プロデューサーの北澤潤氏からインドネシアにある世界最古の絵画の話や、電車の話も聞けたのも貴重な体験。母たちはインドチャイのワークショップへ。北澤氏とインドのアマルさん、パキスタンのスメイラさんの路地裏トークも楽しく、チェンディキアさんには会えなかったけど、友人と再会できてHALは幸せいっぱい。(親のセッティングも加わっていたが)また彼のネイバーズ体験が広がり、深まった。
その後、HALは高等部の卒業生の先輩をネイバーズ・ランドに誘っていた。後はもう親は知らん。また素晴らしい体験を求めて、ネイバーズ・ランドへ行ってらっしゃい!
YCC Temporary 北澤潤 “ネイバーズ・ランド”
YCC ヨコハマ創造都市センター3階
http://yokohamacc.org/yct/junkitazawa/
6/10(日)までの木・金・土・日曜 (木・金 15:00〜20:00, 土・日・祝 12:00〜20:00)