とうとう閉幕してしまった2018年平昌冬季オリンピック。フィギュアスケート限定、特に男子シングルという偏った観戦ながら今回もたっぷりと楽しませていただきました。勝ち抜いた上位選手だけが出演できるエキシビションでは、競技とは違うリラックスした雰囲気が漂い、アーティスト、そしてエンターティナーの素顔が見られ嬉しくなりました。
一番印象的だったのは、練習中から仲間たちと楽しいひとときを過ごし、純粋にスケートを愛し楽しむ羽生結弦さんの笑顔。そして、とうとうオリンピックのリンクに舞い降りた「Notte Stellata(星降る夜)」のスワン。熾烈な4回転ジャンプ対決が繰り広げられた昨シーズン、まるでそのアンチテーゼのようにエキシビションで滑ったスワンが、オリンピックのリンクでも魅了してくれました。
Embed from Getty Imagesこの曲、この衣装のスワンには個人的に色々と思い入れがあり、金メダリストのガラ・プログラムとしてオリンピックで披露される日を夢見ていたのですが、その夢が実現しスワンレイクのイリュージョンで演出されたリンクに彼のスワンが登場したときに思ったことはただ一つ。
結弦さん、ようやくスワンになれてよかったね!
GPF練習中の4回転ルッツ転倒による深刻な怪我、オリンピック直前のブランク、完治しない状態でのオリンピック出場、自身の最高得点に迫る評価を得たSP、後半の危機を立て直して高得点を獲得したFS、そして金メダル。ずっと戦闘体勢で弱みを見せず、自身と闘ってきた結弦さん。彼の中には、優雅で愛に満ちたスワンがいることを、15歳のときから応援してきた私は知っています。そして、競技においてはそのスワンを封印していることも。もっとも、このスワンはずっと貴方の中にいて、貴方を守ってくれていたのだと、私は信じています(羽生結弦、内なるスワンの飛翔)。
闘いが終わり、勝利し、悲願の金メダルを手にした今、ようやく白い羽で飾られた衣装を纏い、サン=サーンスの「白鳥」のリミックス曲で、スワンを舞うことができるのですね。結弦さん、スワンになれてよかったね!予定されていたこととは言え、エキシビション練習中や本番で見せる笑顔や仕草に、結弦さんが普段は見せない愛らしさや優しさが溢れていて、本当に嬉しくなりました。
結弦さん、スワンになれてよかったね! (つづく)