フィギュアスケート最中応援!宇野昌磨の四季交響曲「冬」

ついに幕開けた冬季オリンピック。今回のプログラムを紹介しながら、フィギュアスケート選手たちへ直前、いや最中のエールを贈ることにする。最初に取り上げるのは、最初の栄光に輝いた宇野昌磨団体戦予選でいち早く幕開けたフィギュアスケーターたちの闘い。男子シングルでは宇野が圧勝し、日本チームにとって幸先の良いスタートとなった。

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個人的には、オリンピックのフィギュアスケート競技に団体戦を加えることは反対である。選手たちが心身ともに消耗し不調をきたす恐れがあり、個人戦を控えての団体戦で十分に実力を発揮できない場合もある。ソチ・オリンピックでの浅田真央の個人戦SP(ショート)でのあり得ない失敗や、団体戦で大活躍しロシアを金メダルに導いたユリア・リプニツカヤの個人戦での不調、そしてプルシェンコのSP直前練習中の負傷、棄権などが記憶に新しい。そして、2月9日午前に開催された団体戦予選男子SPも、10名中8名が転倒し、今シーズン最悪とも言える結果となった。
Results – Team Event Men Single Skating Short Program
Team Event | Men Single Skating Short Program | FRI 9 FEB 2018 

オリンピックでフィギュア団体を実施すること自体に疑問を感じる人も少なくないだろうが、宇野昌磨にとっては、そのような心配も議論も無用である。どのような状況においても平常心でその時点において到達しているベストを尽くすことができる。4回転フリップで手をついたものの得点源の後半のジャンプを加点付きの出来でこなしてリカバリーし、初めてのオリンピックの舞台で100点越えの高得点を上げた。

世界中のフィギュアスケートファンを感動させ、また彼自身のアスリートとしての名声を高めたSPプログラムは、ヴィヴァルディ作曲、四季 協奏曲第4番 「冬」。かつてステファン・ランビエールパトリック・チャンが本領を発揮した格調高くも独創的な表現に適した曲である。振付は、コーチでもある樋口美穂子。オリンピックで金メダルを目指す選手たちFS(フリー)に選ぶのは、大技の4回転ジャンプを盛り込むのに似合う男性的な迫力のある曲である。宇野のFS「トゥーランドット」も例外ではない。しかし、それだけでは宇野の魅力を表現しきれない。彼の持つ力強さだけでない、繊細な感性、具体的な人物を演じるプログラムでは出しきれない、純粋で抽象的な美の領域。それを表現できるのがこのプログラムである。昨シーズンのSP宇野の魅力を知り尽くした樋口コーチの判断は正しい。昨シーズンのSP「ラヴェンダーの咲く庭で」も抒情的な一面が際立ち、ダイナミックなFS「トゥーランドット」との対比が絶妙だったが、抽象性を増した今回の「四季」にはオリンピックに相応しい洗練が加わっている。

オリンピックに合わせてイメージチェンジしたというヘアスタイルを宇野自身は気に入っていないとのことだが、「四季」の「冬」に似合う儚げな華やかさが漂う。技で勝負してくるネイサン・チェンボーヤン・ジンハビエル・フェルナンデスにはない魅力も際立ってくることだろう。

ノービス時代から大人顔負けの華のある演技で定評があり、シニアデビューしてからも成長甚だしい宇野昌摩。最初のジャンプでミスのあった演技で103.25点の出来であるから、まだ伸び代がある。最高の演技はぜひ個人戦で披露できるようにコントロールして欲しい。

宇野昌磨オフィシャルサイト

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