坂本花織(17歳)の現時点での世界ランキングはザギトワ、コストナー、ソツコワに次ぐ第4位。欧州選手権で復帰したメドベージェワの上を行く。
今シーズン、シニアデビューしたばかりの彼女だが、あっという間に頭角を現し、四大陸選手権では金メダルを獲得した。彼女もまた、最強少女の一人であるが、今までにないタイプである。気取りのない、あっけらかんとした強さ。毎回のように自己ベストを更新し、「やったーー!!」と万歳をして喜ぶ姿が微笑ましい。いわゆる美少女ではないが、そんなことを気にする人は一人もいない。ナチュラルな美しさに溢れていて、眩しいばかりだ。
全日本選手権で第2位に入り、2枠しかないオリンピック出場資格を手にした。当時の時点で実績と世界ランキングで上回る樋口新葉を退けての決定だった。ソチ・オリンピックの後、多くの選手がこの座を目指して励んできた中、今シーズン登場したばかりの彼女があっけらかんとさらった結果となった。しかし、やっかみを言う声は聞こえない。彼女の底抜けの明るさ、勝機を掴みそうな勢いに、どんと任せて応援したいという気持ちになる。
彼女のあっけらかんとした強さは、演技にも還元されており、ジャンプをはじめとする技の完成度は高く、回転不足やミスを指摘されることも稀である。また、FS「アメリ」の演技では、かつて高橋大輔がステファン・ランビエールの振付で演じた同題のエキシビション プログラムにも劣らぬ、繊細な感情表現に溢れている。映画の世界を等身大の自分の感性で演じ切る表現力を備えているのである。
平昌オリンピックのフィギュアスケート日本選手団の中でも、彼女の明るさは他の選手たちをも照らしてくれるだろう。仲間にポジティブな覇気を与えつつ、自分もさらに成長し続ける強さが、彼女にはある。