最強の美少女スケーターたちへ 2 アリーナ・ザギトワ ~攻撃的な挑戦者

メドベージェワ不在の好機を捉えたのがアリーナ・ザギトワ (15歳)だった。清楚で庶民的な感じもするメドベージェワとは異なり、15歳とはいえ華やかな雰囲気が漂う選手である。もっとも、3Ltz-3Loという基礎点の高いコンビネーションジャンプを武器とする彼女には、メドベージェワに挑むのに十分のポテンシャルがあった。また、GPシリーズでは2大会ともSPでこのコンビネーションで転倒して大きく出遅れながらもFSで高得点を上げて優勝するなど、メンタルの強さでも定評があった。その勢いに乗るように、メドベージェワが棄権したGPファイナル、そして不出場となったロシア選手権で優勝。そして、ヨーロッパ選手権ではメドベージェワと競って優勝を手にした。女子選手で史上初となる、FSで全てのジャンプを後半にプログラムするという攻撃的な挑戦が功を奏した。”絶対女王”を制するために攻撃的にならざるを得なかったのである。彼女はこの時点における世界最強の頂点に立った。

あまりにも早急に天才を輩出するロシアのフィギュアスケート界において、メドベージェワから王座を奪い、2トップの時代がもたらしたザギトワ。オリンピックを目前に最高に面白い展開を見せてくれた。欧州選手権の1,2のスコアは四大陸選手権の勝者たちをより約20点も上回っている。平昌オリンピック個人戦での直接対決が楽しみである。

不運なことに、彼女たちには無関係のソチ・オリンピックでのドーピング事件により、平昌オリンピックのロシア選手団の出場禁止が決まり、フィギュアスケート選手たちも個人選手として参加することになった。しかし、メドベージェワもザギトワも、薄幸の美少女で終わることは決してないだろう。いや、むしろこの流れをも自分に有利な方へ変えてしまうかも知れない。間もなく開幕するオリンピックでの二人の成長に期待する。そして、凌ぎ合う二人の影でロシア ナンバー3の座に甘んじながら、一見地味に自分の演技を追究しているマリア・ソツコワにも。  -YUKA

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